2022年6月16日木曜日

お母さんへ

 だいぶ前から

両手の人差し指の形がおかしくなっている。

実母も同じ状態なので

遺伝なのかなぁとか思いながらも

右手の奇形が

人差し指から小指に。



これは

お母さん指と

赤ちゃん指の物語。


赤「お母さん、痛そうだね」

母「強く押されると、ちょっと、ね。」

母「ご主人、左利きだから、さほど困らないみたいよ」

赤「でもあいつ、ブラインドタッチできないから、いつもお母さん任せだよね。マウス操作も一番活躍してるし。」

母「ご主人を“あいつ”なんて言わないのよ!」

赤「だって!全然ケアしてくれてないじゃんか!」

母「去年からラフィネでレディに揉みほぐしていただいているわよ。」

赤「あのお喋りジジィに感謝なんかしないよ」

母「確かに、施術中にお喋りが過ぎるわね。」

「ようし、わかった!

僕、53年以上赤ちゃんで、大して役に立ってないから

その苦痛、僕が代わるよ!」


「何言ってるの!ご主人が“彼女が”って話するとき

あなた、必要でしょ」


「彼女なんか、居ないだろ!

枯れた初老なんかにゃ

これからも出来ないよ。」


「それはそうね。間違いないわね。」


「じゃあ、移動の儀式を行うよ。

これは副作用があって、

主人の後頭部が薄くなるんだ」


「あぁ、ご主人が気にしているのに!」


「じゃあ、始めるよ!

バルス!」


「坊や…

ありきたりな呪文だこと…」



こうして、お母さんの奇形は

僕に移りました。

お母さん、

キータイピングと

マウスの左クリックとスクロール

頑張ってください。

兄と姉の向こうから見守っています。





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